人工股関節というのは、元々、人間の体内にある股関節ではなく、人工的に作られた股関節のことです。
人間の股関節というのは、ときに体重の数倍の力にさらされることもある組織です。
そのため、股関節を形成する大腿骨や骨盤にトラブルがあると、脱臼や骨折などに直結することもあります。
特に大腿骨頸部の骨折は、普通の骨折のようにギプスで固定していれば治るという単純なものではなく、プレートやスクリューにより折れた骨を固定するか、人工股関節に置き換えてしまうかといった大がかりな手術が必要になることもあります。
人工股関節置換術は、股関節を形成している大腿骨と骨盤の一部を、金属製の人工股関節に置き換えてしまう手術のことです。
特にお年寄りになると、室内でちょっとつまづいて転倒しただけで股関節を支える大腿骨頸部やその周辺部を骨折してしまうことがあります。
老人の骨は骨粗鬆症の影響で折れやすく、また、成長が遅いことから治りも遅いため、人工股関節の置換手術が適用されることも多いです。
人工股関節置換術は20cm程度も切開する必要があり、大きな血管も近くにあることから輸血も伴う大がかりな手術になります。
しかし、現在ではMIS(Minimally Invasive Surgery)と呼ばれる切開をごく小さくおさえる手術法が確立されており、キズも小さく治りも早くなってきています。
人工股関節への置換手術が済んだ後は、できるだけ早くリハビリテーションを開始したほうがよいとされます。
股関節に限らず、関節は単体で動く機能を有しているわけではなく、周りの筋肉の力によって動かされているため、手術後の経過、つまり歩行に至るまでの回復は、ひとえに脚部の筋肉トレーニングにかかっているといえます。
股関節に負担をかけないように歩くことができるよう、筋肉を鍛えていくことが重要なのですね。
ただし、人工股関節の手術後のリハビリテーションは、病院でないとできないものではなく、自宅でも十分に行えるものがほとんどです。
医師や理学療法士などの指導を受けながら、自宅でリハビリの訓練を行なうことで、家庭での生活に早く復帰することが可能になります。